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【SUSUの素 No.20『野生のい草』 | ブランドディレクター菅原の日常の中の心が動く小さな出来事を散文的に綴ったコラム】

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Writer: SALASUSUブランドディレクター菅原 裕恵HIROE SUGAWARA

こんにちは!
今回はメルマガ先行配信中の連載コラム「SUSUの素(もと)」をご紹介します。
さらっと流れていってしまうような日常の機微にこそ、どうやら「SUSUの素」が詰まっているようです。
菅原の目線を通して、SALASUSUの世界観を感じてみてくださいね。



No. 20『野生のい草』

マネージャー陣のミーティングで、
生産部門のブッティが「作り手と野生のい草を収穫してくる!」と言い出した。
へ?野生のい草?それ本当に生えてるの?何で今行くんだっけ?
と、あまりの唐突な提案にフリーズする日本人マネージャーたち。

い草はわたしたちの商品に欠かせない存在。
ブランドの初期から今でも多くのアイテムで使っている。カンボジアのい草は主に寝る時のマット、日本で言うゴザのようなものに使われる。日本とは違う種類のい草なので、日本の畳のような匂いはなく、より太くて、艶があって、そしてより表面が硬いのが特徴。い草は土に生えているのではなく、実は沼の中で全長120センチほどの背丈に育つ。

わたしたちは年に数回、プノンペン近くのい草農家から大量のい草を仕入れている。仕入れた、い草は大きな束になって工房にやってきて、まずは束から、い草の仕分けをする。人の手と目で1本ずつ仕分けていく。まずは色。色ムラがなくそのまま使えるもの、染色して使うものに仕分け。次は太さ。太さの違うものが混ざっていると織ったときにデコボコができてしまうので、均一な織にするために太さ別に仕分ける。この作業、一見、真剣にじっと手を動かしていないといけない作業に思えるのだけれど、作り手たちは工房の外でゴザを敷いておしゃべりをしながら楽しく仕分け作業をしている。

ちなみに最近では、マットの需要もプラスチック製に取って変わっているので徐々にカンボジアでのい草の需要は減っているのが現状で、価格も高騰していたり、手に入りにくくなっている。

話は戻って、ブッティの「野生のい草を収穫に行く」という、ハーベストツアーの話。
「トンレサップ湖の近くの沼に野生のい草が生えてるって、知り合いが言ってたから、みんなで収穫に行ってみようと思う。収穫の日と仕分けの日とスケジュールも組んだし、今がい草のシーズンだから今行かないと!」と熱いブティの解説。

えーっと。「野生」だったらもしかしたら生えてないかもしれないよ?
そもそもその情報は確かなの?確認しにまず行ってみたら?
ちなみにい草の種類って同じかな?うまく染まらないかもしれないよ。
と、あれこれ考えてしまう日本人たちをよそにブッティの勢いは止まらない。

若い作り手たちはい草をよく知らないから、課外授業的なものにもなるし、反対する理由もないし、どちらかというと、大賛成する理由もないけれど、「やってみよっか」と言う流れで実行することになった。

そしてツアー予定日。
「今年はいつもよりも早く雨が降って、野生のい草が水没したから収穫はキャンセル」
ってブッティからの報告アリ。
えー!雨かー!

結局、本当に生えてたのかよくわからないまま終わった幻のハーベストツアー。
雨季が明けたらまた計画できるかな?そしたらその収穫した野生のい草を使って「ワイルドラッシュライン」なんて名前をつけて、新商品にできるかもしれないな。って妄想だけしておこう。


『SUSUの素(もと)』

ブランドディレクター菅原裕恵の日常の中の心が動く小さな出来事を散文的に綴ったコラム。
ささやかで、個人的な目線を通して、SALASUSUの世界観を感じてみてください。
最新話はSALASUSUメールマガジンにて毎月2回、金曜夜20時ごろ先行配信。

購読は下のフォームから。

Writer

SALASUSUブランドディレクター菅原 裕恵HIROE SUGAWARA

美術大学卒業後、東京で6年間の婦人靴のデザイナー経験を経て、2016年よりSALASUSUに参画。SALASUSUのプロダクトデザイン、ディレクションを担当。1年間の駐在のち現在はカンボジアと日本を行き来しながら、目に見えない付加価値を追求したものづくりを模索中。

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