数字で見る!SALASUSUの裏側〜Impact & Activity Report 2020〜
Date:
Writer: ソーシャルエンパワメント部門 シニアマネジャー後藤 愛美MANAMI GOTO
カンボジアにある工房で、ものづくり・ひとづくりに取り組むSALASUSU。
作り手と共に歩む工房での活動は、私たちにとってとても大切なもの。しかし、実はそれ以外にも各国でさまざまな活動を行っていること、ご存知でしょうか?
対象は農村の女性たちから、日本の大企業で働くビジネスパーソンまで。このコロナの影響で、さらに新しく始まった事業もあります!
工房での活動はもちろん、いつもは表立って見えないその他の活動、成果をたくさんの方に知ってもらいたい。そんな想いをこめて、今回はSALASUSUの裏側の世界を、2020年度の活動の成果と共に数字でご紹介します!
目次
工房で作られた商品の数
平均試作回数
商品を販売している国の数
1年間で使ったい草の総重量
工房で働き、学んだ作り手の数
ライフスキルトレーニング開発数
工房を卒業した作り手の数/ 自分で選んだ新しい生活への満足度
商品を購入してくれた人の数
寄付で活動を支えてくれた人の数
SALASUSUで生まれた赤ちゃんの数
カンボジア全土でSALASUSUのトレーニングを受けた人の数(工房は除く)
オンラインスタディツアーに参加した中高生の数
企業向けリーダーシップ研修に参加した人の数
哲学をみんなで話し合ったスライドの数
工房で作られた商品の数
皆さまにとって一番目に触れる機会の多い、ものづくり。この数字は、SALASUSUブランドの成長という観点で大切であると同時に、作り手にとって「どれくらい学びの機会があったか」ということを測る大事な指標でもあります。
2020年度はコロナの影響で、作る商品の数は減ってしまいましたが、新商品の開発もあり、難易度の高い商品がいっぱい。自分のスキルを使って何かを生み出し、誰かの役に立つ、そんな成長の機会をたくさん作ることができました。
平均試作回数
カンボジアの工房にいる作り手・スタッフと日本のブランドディレクター菅原が何度もやりとりをしながら作られていく新商品。昨年度は菅原が直接工房に行くことは叶わず、郵送で商品を送り合いながらの開発となりました。
難しさもたくさんありましたが、その分工房メンバーの責任感は増し、まずは自力でたくさんの試行錯誤を重ねてから菅原に見せてくれるようになったという嬉しい変化も。全員の目線が揃ってきたことで、よりチームとしての力が増しています!
商品を販売している国の数
カンボジアと日本はもちろん、実は台湾と香港にも拠点があり、商品を販売しています!
その中でも2020年度、特に大きく成長したのは台湾チーム!これまでスタッフも1人のみでしたが、メンバーも増えて少しずつ大きなチームに。有名な百貨店での大規模なポップアップの開催やイベントへの登壇など、台湾のたくさんの方にSALASUSUを知っていただくことができました!
1年間で使ったい草の総重量
SALASUSUの商品で特徴的な素材、い草。
最近は様々な種類の素材を使うことにも挑戦しているため消費量は減っていますが、私たちにとっては原点とも言える、思い入れのある素材です。
革やキャンバス生地は国外から仕入れていますが、い草は全てカンボジア産!メコン川の近くの農村の人たちから、質の良いものだけを買い付けています。
工房で働き、学んだ作り手の数
コロナの影響で一時工房の閉鎖を余儀なくされましたが、そんな中でも43人全員が一生懸命ものづくりに励みました!
人数を減らして稼働せざるを得ない日も多く、役割分担や納期がいつもと違うなど、難しい状況もたくさんありました。しかし、その困難を成長の機会と捉えてチャレンジを楽しんできた作り手たち。改めて彼女たちの成長と、作り手としてのプロフェッショナリズムを感じることもできました。
ライフスキルトレーニング開発数
ライフスキルトレーニングで学んだ、問題解決、対人関係、自信。それを活用して、コロナの状況をどう乗り越えようとしているか、工房や家でどんなことにチャレンジしたか。
通常とは異なる日々が続いた昨年は、そんな一人一人の挑戦をじっくり振り返るトレーニングに力を入れました。
仲間とともに振り返り、お互いの経験から学び、励まし合う。そしてまたそれぞれの場所で前向きに頑張る作り手の姿に、私たちもたくさん励まされました。
工房を卒業した作り手の数/ 自分で選んだ新しい生活への満足度
子育てと仕事を両立したい、と1名が2020年の11月末に、また工房の役割の変更により21名が3月末に工房を卒業しました。
私たちが卒業を考える上で大切にしているのは、良い給料やキャリアということ以上に、作り手自身が納得して自分の将来を決める、ということ。だからこそ、卒業して何をするかよりも、実際にそれを自分で決められたか、その決断に自分自身がどれくらい満足しているかというプロセスを大切にしています。
卒業後の今も、卒業生は1ヶ月に1度工房に集い、新しい場所での挑戦を振り返る機会を設けています。多くの卒業生が、納得のいく決断のもと新しい場所で頑張り続けていますが、中にはそれが難しい卒業生も。お互いに悩みを共有し、励まし合いながら成長していけるよう、一人一人に関わり続けています。
商品を購入してくれた人の数
カンボジアにいる作り手と、日本にいる使い手である皆さまのLife Journey(人生の旅)が交差した数です。また、作り手の仕事を作り、工房の活動を支えてくださった数でもあります。SALASUSUを選んでくださった皆さま、本当にありがとうございます!
2020年度はカンボジアの工房で直接作り手に会っていただくことは叶いませんでしたが、商品を通じて少しでもカンボジアの、SALASUSUの工房のあたたかさを届けられていたらとても嬉しく思います。
寄付で活動を支えてくれた人の数
観光業の壊滅により、これまで商品売上の約7割を占めていたカンボジアでの収入は激減。そんな中、多くの個人、企業、団体さまからの寄付に、本当に力強く支えられた1年でした。
・SALASUSUサポーターとしてご支援くださった方:のべ92人
・2020年5〜6月に実施したクラウドファンディングに参加くださった方:370人
・都度の寄付で応援くださった方:16人
・企業・助成団体として活動を支えてくださった方:18社・団体
本当に多くの方の支えがあって、最も苦しい時期を乗り越えることができました。
改めて、心から感謝を申し上げます。
SALASUSUで生まれた赤ちゃんの数
6人の作り手、そして4人のスタッフの家族に赤ちゃんが生まれました!
カンボジアの産休・育休は3ヶ月ととっても短く、赤ちゃんを職場に連れてくることも当たり前。オフィスや工房併設の託児所でハンモックを揺らしながら、特にはスタッフみんなで赤ちゃんをあやしながら働く姿はカンボジアならではです。
カンボジア全土でSALASUSUのトレーニングを受けた人の数(工房は除く)
SALASUSUが学びの機会を提供しているのは、工房の女性たちだけではありません。
首都プノンペンをはじめとするカンボジア全土の企業やNGO、政府機関で働くカンボジア人に向けて、トレーナー育成研修やマネジメント研修を提供しています。
昨年からはJICAやみてね基金、カンボジア労働省との大きなプロジェクトが本格的に始動!工房で育んだ教育プログラムがカンボジア全土に広がっています。
オンラインスタディツアーに参加した中高生の数
コロナ前は毎年約2,000人が訪れていたSALASUSUの工房。2020年度は訪問をオンラインに切り替え、工房と中継を繋いで作り手が働く様子をお届け。一人一人にじっくりインタビューをする機会も作りました。
オンラインならばと、これまで以上にたくさんの新しい学校さまとも繋がることができ、参加した中高生からも「想像していたカンボジアと全く違った」「これをきっかけに他のオンラインツアーにも参加してみた」「コロナが明けたら絶対にカンボジアに行く!」など嬉しい声も。自分自身の世界を広げ、自ら行動するきっかけをたくさんの中高生の皆さんに届けることができました。
企業向けリーダーシップ研修に参加した人の数
厳しい環境の中でも、力強く生きる作り手の女性たちから、自分らしいリーダーシップを学ぶ。そんなコンセプトで、2020年度新しく始まったのが、日本の企業で働く皆さまに向けてのリーダーシップ研修です。
日本の大企業で働く管理職の皆さんと、カンボジアの農村をつなげて学ぶというのは一見非常にユニークですが、「⾃分の活かし⽅や、無理なく⾃分らしくいられるリーダー像が分かった」「社会課題の捉え方が変わった」など、良いお声を数えきれないほどいただきました。
私たちスタッフも日々作り手と接する中で、そのありのままの姿にたくさんのことを学びます。日本の企業の皆さんにも、作り手の姿からリーダーとして本当に大切なことを感じていただくことができ、とても嬉しく思っています。
さいごに
哲学をみんなで話し合ったスライドの数 162
2020年度は世界中のどの場所にいても、さまざまな変化を感じる1年だったのではないかと思います。SALASUSUも例に漏れず、数えきれないほどの変容を迫られました。考えても考えてもこの先の状況が全く読めない不安定な中で、判断に迷うことも増えていきました。
そんな時に始まったのがこの「哲学」を作る取り組みです。SALASUSUは何のためにあるのか、どんなことを大切にして、何を実現していきたいのか、原点に立ち戻って、自分たちの核となるものを明確にしよう。そんな思いで2020年の6月から対話をはじめました。
まずは経営メンバーで、次にマネジャーと一緒に、そして最後はスタッフ全員で。
一人一人がSALASUSUで働く上で、自分の人生を生きる上で大切にしたい価値観は何か、それをなぜ大切にしたいのかかを、じっくりじっくり時間をかけて話し合いました。
時には、お互いのことが十分に理解できなかったり、あまりに多様な意見にまとまっていかないもどかしさもあり、苦労したことも。しかし、数えきれない対話を重ねて、ついにSALASUSUが大切にしたい5つの哲学を言葉にすることができました。
5つ大切な哲学がある中で、中心に掲げたのは、「Enjoy Your Life Journey」という言葉。
これはただシンプルに「楽しく生きよう」という意味ではありません。人生には嬉しいことも、苦しいこともある。でもそんなアップダウンも含めて、人生の旅として味わって楽しもう、そんな意味をこめています。
また、「Enjoy Life Journey」を誰もが信じられるようになることを、SALASUSUで行う全ての事業の目標に掲げました。
そしてまさに、2020年度はSALASUSUにとって「Enjoy Life Journey」を体現する1年だったのではないかと思います。
少し前に、私が働く教育チームで昨年度の出来事を振り返る機会がありました。1つ1つ振り返っていくと、1年とは思えないほど多くの変化や挑戦があり、思わず全員で「本当にクレイジーな1年だったね」と笑ってしまったほど。
しかしその笑いの背景には本当にいろんな苦悩がありました。工房の閉鎖、深刻な経済難に直面する作り手のサポート、そして21人の作り手の卒業。農村で必死に一人一人の家を回りながら話を聞くも、苦しい状況に共に絶望したり、そんな中何のサポートに意味があるのか分からなくなり、途方にくれたこともありました。
それでも、どんな時もスタッフ全員で話し合い、正解がない中で模索を続けて、なんとかこの1年を乗り越えてきました。その道のりを、今振り返って一緒に笑い合えること、そしてそんなスタッフ・作り手と共に今も前を向いて進み続けられていることを心から嬉しく、また誇りに思います。
苦しさも、不安も、喜びも、全員でともに乗り越えてきたからこそ、大変だったけれども味わい深い1年でした。そしてその過程で組織としての絆はより強くなり、これからより一層、全員で一丸となって良い活動を届けていける、そんな自信がついた1年でもありました。
2020年度にSALASUSUを様々な形で応援してくださり、私たちの旅に関わってくださったみなさま、本当にありがとうございました。
2021年度も、たくさんの人のLife Journeyを応援できるよう、努力を重ねていきます。
ぜひ引き続き、SALASUSUをどうぞよろしくお願いいたします!
ソーシャルエンパワメント部門 シニアマネジャー後藤 愛美MANAMI GOTO
厳しい環境で生きる人々の力になりたいと、コンサルティング会社、前身かものはしプロジェクトを経て、2018年よりSALASUSUに参画。カンボジア駐在。工房の女性たちのケアやトレーニングを担当するかたわら、現地の様子を伝える広報活動にも力を入れる。SALASUSU Paper編集長。韓国カルチャーにハマり中。