【SUSUの素 No.3 | ブランドディレクター菅原の日常の中の心が動く小さな出来事を散文的に綴ったコラム】
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Writer: SALASUSUブランドディレクター菅原 裕恵HIROE SUGAWARA
こんにちは!日本チームのスタッフ鳥居です。
今回はメルマガ先行配信中の連載コラム「SUSUの素(もと)」をご紹介します。
さらっと流れていってしまうような日常の機微にこそ、どうやら「SUSUの素」が詰まっているようです。
菅原の目線を通して、SALASUSUの世界観を感じてみてくださいね。
No.3 『好きのはじまり』
もう20年も前のこと。中学生のわたしは、玄関の鏡の前でバレエシューズをじっと見つめている。
細かい描写は忘れてしまっているけれど、
あの時の気持ちは、今でもははっきりと覚えている。
中学生まで「靴」といえばスニーカーだった。そこに「おしゃれ」はほとんど存在せず、「歩くため」のシンプルで機能的な靴。けれど、心の中ではテレビに映る、つやつやしていて、キレイな色で華奢なハイヒールやブーツ、そんな「大人の女性」の象徴にいつしか憧れを抱いていたのかもしれない。
そして遂に買ってもらった。母にお願いしてバレエシューズを。
ツヤのあるエナメルの黒いバレエシューズだったと思う。
同じ靴なのにスニーカーとバレエシューズでは全くわたしの気分は違った。鏡の前で何度もバレエシューズを履いた自分を見る。うれしい、照れくさい、でもうれしい。そんなこそばゆい気持ちがじんわりとわたしを包み込む。「うん。かわいい。」そう確かめて家を出る。
休日のお出かけは必ずバレエシューズを履いた。
揺れる電車の中で座って、何度も自分の靴を見る。
「うん。かわいい。」
お気に入りの靴は私の気分をあげてくれる存在になった。
自分のためにおしゃれする。
好きなのもので自分を満たす。
そんな初めての体験。
今でもわたしは服を選ぶよりも靴を選ぶ方が好きだし、気分があがる。
そしてお気に入りの靴を履く瞬間の「うん。かわいい。」その気持ち。
それはずっと変わらない。
『SUSUの素(もと)』
ブランドディレクター菅原裕恵の日常の中の心が動く小さな出来事を散文的に綴ったコラム。
ささやかで、個人的な目線を通して、SALASUSUの世界観を感じてみてください。
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SALASUSUブランドディレクター菅原 裕恵HIROE SUGAWARA
美術大学卒業後、東京で6年間の婦人靴のデザイナー経験を経て、2016年よりSALASUSUに参画。SALASUSUのプロダクトデザイン、ディレクションを担当。1年間の駐在のち現在はカンボジアと日本を行き来しながら、目に見えない付加価値を追求したものづくりを模索中。