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NEWS[お知らせ]

ブランドディレクターからのメッセージ

お知らせ

Date:

Writer: SALASUSUブランドディレクター菅原 裕恵HIROE SUGAWARA

いつも商品を楽しみにしてくださる皆さまにお伝えしたいことがあり、このメッセージを書いています。

ブランドSALASUSUは2023年8月末をもちまして新商品の開発を停止ならびに日本での販売活動を終了いたします。

ここまでSALASUSUの商品を愛し、応援してくださっていた皆さまへの言葉にしきれない感謝の気持ちと、ここまでとこれからのことをお伝えしたく、少し長くなりそうですが読んでいただけたら嬉しいです。

■私たちの目指すことーEnjoy Your Life Journey

私たちSALASUSUのビジョンは
「Enjoy Your Life Journey – 人生の旅を楽しんで生きる」

私たちの人生が地図も目的地もない旅だとしたら、どんな道のりも、出来事も、いいことも、悪いことも、全て旅のプロセス。正解も不正解もありません。それぞれの人生を自分らしく、自分がその主人公として人生を歩んでいく人を増やしていきたい。

そんな思いを「Enjoy Your Life Journey」という言葉に込めています。

この想いと共に日々の暮らしにも、特別な旅路にもよりそう、心地よさを大切にした商品をカンボジアの工房からお届けしてきました。

農村地域にあるSALASUSUの工房は働く女性たちの、ものづくりの現場であり、SALA=学校でもあります。作り手たちは10〜30代の近隣に住む最貧困家庭出身の女性たち。作り手でもあり、学校の生徒でもある彼女たちに対して、これまで「生きていくための力」を身につける「ライフスキルトレーニング」を提供してきました。

たとえば、午前中はものづくり、お昼になったらみんなで賑やかなおしゃべりとともに給食を食べ、ちょっとお昼寝をしてから、午後からライフスキルトレーニングの授業。そんな1日を彼女たちは過ごしてきました。

「生きていくための力」と一言で言っても、それがどんな力なのか、何をプログラムのゴールにするのか、ずっと試行錯誤してきました。過去にライフスキルトレーニングを終えた作り手たちを街にある就職先で働けるようにサポートしていた時期もありました。

サポートをして、せっかく就職できても、都心で働き続けられず仕事のない農村に帰ってしまう作り手たちもいる。そんなとき「どうしたら彼女は街で仕事を続けられたのか」という議論をすることもありました。でも彼女の決断に対して、何が人生の成功で失敗なのかを私たちが決めるのは違うのではないか。彼女が人生を自分のものとして、人生の旅のプロセス全てを自分で舵を取り、進んでいくことこそが大切だと気付かされることがありました。

 

「Enjoy Your Life Journey 」できる人となる「ひとづくり」をしていくこと。

これが私たちの目指していることです。

 

■「ものづくり」から「ひとづくり」へ

工房を100%「ひとづくり」の場所に変化させるということを私たちは決断しました。「ものづくり」と「ひとづくり」を両立させてきた「工房」から、「ひとづくり」に特化した「学校」へと変わります。

この本当に悩ましい決断に至ったのは「Enjoy Your Life Journey 」できる人を増やしていく、私たちの目指すものにより正直に向き合った結果、ブランドはなくなってもこの場で「ひとづくり」ができると信じているからです。

これまで、工房の女性たちは学校で「学ぶ」ことだけをしていられるほど裕福ではなく、日中に働きながら学べるからこそ工房に来てくれていました。SALASUSUのブランドとしてシーズンごとに新商品を開発し、新しい技術に挑戦しながら生産をする。ものづくりと学びの両立。ものづくりの工程での新しい挑戦をすること、新商品の試行錯誤を作り手たちと一緒にする時間はかけがえのない時間で、たくさんのストーリーが生まれてきました。ただ、ものづくりとひとづくりを両立させながらブランドを成功させていくことは容易いことではありませんでした。

これまで積み重ねてきた工房でのものづくりを思うと、これまでのたくさんのシーンが頭をよぎります。私たちがものづくりを通してやりたかったこと。それはずっと「ひとづくり」であったこと、そしてブランドとしての「ものづくり」がなくなったとしても私たちのやり遂げたいことは変わらず、そして実現できると信じ、事業の転換、ブランドの停止を決め、SALASUSUは「工房」から「学校」へ生まれ変わります。

■忘れられないメッセージー自分が大切にされる経験

私たちが大切にしたいことを教えてくれた、作り手の言葉があります。

6ヶ月間のライフスキルトレーニングを経て、工房を卒業する若い作り手からのメッセージ。

「これまでと同じように自分に自信がないことは変わらないし、これから新しい場所にいくことはやっぱり不安。でもここでは家族みたいにあたたかく、自分のことを考えてくれる人がいる。それを思うと私でもできるんじゃないかって思えるようになった」

「ひとづくり」といっても、6ヶ月間のトレーニングだけで人生が劇的に大きく変わることはあまりないかもしれません。でも最貧困家庭出身の女性たちが、ここで誰かから大切にされたり、自分の行動が誰かの助けになったり、そういう積み重ねの中で自分には価値があるということを体感する。ほんの小さなことだけれど、今まで「私なんて」と思って手放してきたものに、少しずつトライできるようになっていく。これまで工房で起きていた、そんな小さな彼女たちの変化をもっと応援していきたい。

自分が大切にされる、価値があるって思えるそんな場をこれから「学校」になっても作っていきたいと強く思っています。

■これから

2008年、人身売買の予防を目的にかものはしプロジェクトによって設立された工房。2018年にSALASUSUとしてかものはしプロジェクトから独立し、最貧困家庭の女性たちとものづくりを続けてきました。私が始めて工房を訪れた2016年、うだるような暑さの3月のカンボジア、むきだしの赤土の上に立つ木造の建物の中は存外涼しく、そしてミシンの音と女性たちの明るい笑い声に満ちていました。そこからの7年間。作り手たちと、時には女子校のようにはしゃいだり、1つの試作品を前に何度も作り直したり、一緒に妊娠中のつわりのつらさを乗り越えたり、彼女たちと食べる給食のメニューを楽しみにしたり。なんでこんなことが起きるの!?ってもう笑うしかないハプニングが起きたり。

ものづくりを停止することで、彼女たちと試行錯誤しながら新しい商品が生み出されることがなくなることはさみしく思うのが正直なところです。それでも、

Enjoy Your Life Journey

私たちの新しい旅路「ひとづくり」のSALASUSUとして新しい旅を進んでいきます。

これまでの応援、本当にありがとうございました。

Writer

SALASUSUブランドディレクター菅原 裕恵HIROE SUGAWARA

美術大学卒業後、東京で6年間の婦人靴のデザイナー経験を経て、2016年よりSALASUSUに参画。SALASUSUのプロダクトデザイン、ディレクションを担当。1年間の駐在のち現在はカンボジアと日本を行き来しながら、目に見えない付加価値を追求したものづくりを模索中。

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