先生自身がカンボジアの"リアル"に触れて
学びを深めた4日間!

2022年8月、「2020年より約1年半、ずっとオンラインだけで繋がり続けたカンボジア人参加者と直接会って話たい!」という強い気持ちをもった4名の日本人参加者が、念願のカンボジア訪問を実現させました。

今回の研修で、日本人参加者が心動かされたカンボジアでの出来事や学びとは?


カンボジア、コンポントム州にあるサンボープレイクックの遺跡群にて

DAY1

カンボジア、コンポントム州の市内から車で約1時間弱
まだ舗装されていないガタガタの赤土に揺られながら農村部へ

初日は、カンボジア人参加者のノン・スレイニン先生の働くプロム小学校を訪問しました。

ノン・スレイニン先生の授業の様子を見学

ー 今回の渡航の中で、誰よりもプロム小学校の訪問を楽しみにしていた、愛徳学園中・高等学校(兵庫県)の佐々木敬子先生。プロム小学校の授業参観や子どもたちとの交流、先生方との対話の時間を経て、彼女が感じたこととは...

佐々木先生のコメント

「日頃から生徒たちには“本物”に触れてほしいという思いで教育に携わっています。今回の海外研修では、実際に自分の目で見た“本物”を帰国後、生徒たちに授業の中で伝えたいという思いで参加しました。

現地で特に心揺さぶられた場面が、プロム小学校の子どもたちの授業を受ける姿勢でした。彼・彼女たちは、家庭の仕事の手伝いや家族の教育への関心度の低さ等の理由で、毎日学校へ通うことが当たり前ではありません。カンボジアと日本の環境を比べて、どちらが良い・悪いとかではなく、ただ「自分でやりたいことが決められること」や「将来の選択肢が目の前にたくさん広がっていること」、「自分で将来の道を切り開くための環境があること」がどんなに幸せなことか、を心の底から感じることができました。

実際に農村の様子を見て、先生方の話を聞き、カンボジアの農村部の子どもたちのおかれる学習環境があまりにも日本と異なることを知った上で、彼・彼女たちの好奇心あふれる表情や純粋に学ぶ眼差しを見ることができ、教師の私にできることや“教育”について改めて考える機会をいただきました。」

プロム小学校の皆さん、ありがとうございました!

DAY2 Part.1

カンボジアの大自然と遺跡群がダイナミックに融合したサンボープレイクックにて、深い呼吸と共にゆっくりとサンボーの歴史に浸る時間を過ごしました。

ー カンボジアへの渡航経験のある大阪教育大学附属高等学校平野校舎(大阪府)松田 雅彦先生。今回初めて訪れたコンポントムにて、ゆるやかな時間や空間の中で彼が感じたこととは...

松田先生のコメント

「カンボジアは時間も空間もゆったりとしていて、そこに暮らす人々の生活も目に見えやすい。一方で日本は、閉鎖感があり、大人は仕事、生徒たちは学校や習い事で皆忙しい。そして悲しいくらい将来への展望がない...。

今回カンボジアに来て改めて“ゆとり”や“余裕”の大切さに気づかされました。みんなが社会の中で豊かに生きるために、学校とその他の社会の場所がどのようにミックスすればいいのか考えていきたいと思います。

最後に、これまでは一人で海外へ下見や学習のネタを探しにいくことが多かったけれど、今回は他校の様々な教科の先生方と共に過ごし、密に交流することで新しい発見がたくさんありました。」

毎晩集まって、先生同士の振り返りの時間をもちました。

感動もモヤモヤも言語化して共有することで、互いの学びをより深めます。

DAY2 Part.2

サンボープレイクックで過ごした後、コンポントムからシェムリアップ州へ移動し、NPO法人SALASUSUで働く農村出身の女性のお宅訪問や工房訪問の他、市内にある職業訓練校を訪問しました。

実際に農村の生活に触れ、そこで暮らす人々と交流をしました。

ー 行く先々の訪問先での教育者たちの姿勢に感激していた岩瀬日本大学高等学校(茨城県)井上 隆一先生。2日目に訪れた職業訓練校にて彼が感じたこととは...

井上先生のコメント

「佐々木先生と同じく、カンボジア参加者の皆さんと直接対面で会って話をしたいという思いで、今回海外研修に参加しました。

普段の学校生活ではお会いすることのない先生方と共に研修に参加することができ、自分にとってとても濃密な学びの機会となりました。

今回2日目に訪問をした職業訓練校の授業の様子が一番心に残っています。これまでの教師の一方的な講義スタイルの授業ではなく、生徒同士のプレゼンテーションやディスカッションなどが積極的に行われており、自分の想像とは異なる学習形態、授業のあり方に大変衝撃を受けました。我々日本人の教育者や高校生が学ぶことが現地にはたくさんあります。次は実際に自分の生徒たちを現地に連れて行きたいです!」

職業訓練校の授業の様子

カンボジア人参加者のリーホーさんとコム ペアックさんが丁寧にアテンドをして下さいました。職業訓練校の皆さん、ありがとうございました!

DAY3

シェムリアップの郊外にあるバイヨン中学校を訪問しました。

バイヨン中学校の授業の様子

ー プロジェクトで最年少の若手高校教師の清教学園高等学校(大阪府)前田 佑介先生。今回初めてのカンボジア渡航で、彼が感じたこととは...

前田先生のコメント

「今回、“自分の学びを生徒たちに還元したい”という強い気持ちで取り組みました。実際に、“リアルで見ることで学びが深まる”ということを私自身が体感することのできた研修でした。とにかくみんなカンボジアに行こう!まずやってみよう!という気持ちでいっぱいです。

研修の中で、特に3日目に訪れたバイヨン中学校の理事長のチアさんの話が印象に残っています。カンボジアでは質の高い教育を受けている生徒とそうでない生徒とでは、選べる職業が大きく異なるため、彼・彼女たちに“夢や希望はない”ということをチアさんは語っていました。その時、日本の生徒たちを思い浮かべながら思ったことは、夢や希望しかない(誰しもが当たり前に学校に通い、目の前に選択肢が転がっているという意味で)自分の生徒は、「行きたい大学はない」「やりたいことがない」という言葉をよく口にするな、ということでした。

この日の出来事を機に改めて、“自分に矢印を向けてやりたいことに夢や希望をもつ生徒を増やしたい”と強く思うようになりました。時々キャリア教育の迷子になりながら、模索し続けたいと思います!」

バイヨン中学校にて理事長のチアさんの話を熱心に聞く日本人の先生たち

DAY4の最終日は、カンボジア参加者たちが大集合

改めて対面で会えた喜びを分かち合いました!

> カンボジア海外研修時に使用した旅の栞はこちらから閲覧・ダウンロードいただけます。

Supported by The Toyota Foundation
このプロジェクトはトヨタ財団の助成を受けて実施しています