こんにちは!
今回はメルマガ先行配信中の連載コラム「SUSUの素(もと)」をご紹介します。
さらっと流れていってしまうような日常の機微にこそ、どうやら「SUSUの素」が詰まっているようです。
菅原の目線を通して、SALASUSUの世界観を感じてみてくださいね。
No. 25『じわっと伝わること』
最近、家で映画を見る時に集中して最初から最後まで見通すことができなくなった気がする。じっくり見る映画のはずなのに、途中でふとスマホに手が伸びて、気軽に摂取できる情報へアクセスしたくなってしまう。そんな感じだから「これよかったなー」ってじわっとあとからくる「良さ」みたいなのを感じる感覚が鈍っているように思う。
ここ数年、どんどん受け取る情報の密度が濃くなっているように感じる。
数十分の動画よりも、数十秒でインパクトを残すショート動画を見慣れてるからか、映画は長すぎて見られなくなったり。文字のコミュニケーションも「了解」の文字がいつのまにか「り」だけになっていたり。音楽だって最近は途中で離脱されないように間奏を省いて作られているって聞く。
コミュニケーションのスピードがどんどん早まって、よりインスタントにテンポよく簡易的に得られる情報が好まれているように感じるし、わたしもそんな情報にアクセスしている。
情報が溢れる中で、わたしたちが伝えたいことがどうやったら伝わるのか、試行錯誤の日々。伝えるって相手に理解してもらったり、何かアクションを起こしてもらうこと。そのために、この文章は何が書いてあって、何のための文章で、何をして欲しいのか、きちんと整理して、端的に伝える努力をする。ふんわり書いたって伝わらないことはわかってる。
でも、わかりやすく整理して、端的に文章を書くことでこぼれ落ちていくものがある。
3000字の文章から余計なもの、重複するもの、わかりにくい表現をどんどん削って1000字にまとめていく。短くしてもエッセンスは残っているけれど、本当に伝えたかったことを削って、減らしている、ちょっとそんな悲しい気持ちになる時もある。
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情報の簡便さ、軽快さ、そういうものとトレードオフに、少し無駄にも思えるような味わい深さが失われているんじゃないか。コミュニケーションのスピードが早まっていることで、それに合わせて、クリエーションの幅が狭まっているような、味わい深さがどんどん淘汰されてるような気がする。
スピーディーなコミュニケーションは快適だけれど、それでもスローで、ちょっと冗長なくらいな、あとからじわじわと伝えたかったことが伝わるような、そんなものの方が自分の心に長く残っているような気がする。ふとしたときに、「やっぱりあれよかったな」って思い出すのは、なんだかよくわからなくって、じわっと理解できるようなものだったりするから。
読んだその時はよくわからない、ちょっとモヤモヤするような行間だったり、余白に大切なものがある気がするし、なんならよくわからないものはそのままとっておけるくらいな余裕を持っておきたいって思う。
わたしたちも伝えたいことはたくさんあるし、どう受け取ってもらったらいいのか考えるけれど、じわっと誰かの心に残るような、そんな価値を大切にしたいと思うこの頃です。
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『SUSUの素(もと)』
ブランドディレクター菅原裕恵の日常の中の心が動く小さな出来事を散文的に綴ったコラム。
ささやかで、個人的な目線を通して、SALASUSUの世界観を感じてみてください。
最新話はSALASUSUメールマガジンにて毎月2回、金曜夜20時ごろ先行配信。
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